現在、国分寺市を流れる唯一の、貴重な河川である野川は、コンクリート三面張りの排水路状態になっている(鞍尾根橋から上流部分)。鞍尾根橋から下流、小金井市以降は親水化整備されており、対照的な姿を見せている。
○ところで野川とは
野川は、(株)日立製作所中央研究所の大池を源流として、国分寺崖線(ハケ)の裾から湧出する湧水を集めながら、南東方向へ流れ、国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市を経て、世田谷区の二子玉川付近で多摩川に合流する、総延長20.2kmの1級河川。 なお、お鷹の道を流れる清水川(元町用水)は不動橋で野川に合流している。
○野川の歴史
約3万年前、古多摩川が流路を南に変えていく中で、国分寺崖線の裾から湧出する湧水が、古多摩川の川道を流れるようになったのが野川の始まり。
流域には旧石器時代から始まって、縄文、弥生時代の遺跡が多数あり、古い時代から人々の暮らしに関わりのあったことがうかがわれる。
そんな野川の水環境を大きく変えたのは、昭和30年代以降の急速な都市化の進行と、それに追い討ちをかけたのが玉川上水の通水停止。生活排水の流入により水質は悪化、降雨時の雨水流入量の急増により度々洪水が起き、コンクリート三面張りへの改修が行われた。
○親水化整備(自然河川化)
ところで、東京都には「野川流域河川整備計画」(平成21年12月)があり、その中で、最上流部(鞍尾根橋からJR中央線までの1,750m)については、治水および親水の観点から、老朽化の進んだ三面張り護岸の拡幅と複断面河道での整備が謳われている。
具体的には、「川に親しめる空間の創出、生態系の連続性の確保、周辺地域との景観の調和などに配慮した川づくりを行う」とある。 早期実現に向けて市民の関心を高めていきたい。(続く)